電話は嫌い、非通知出ない 人事も驚く今どきの就活生
電話は嫌い、非通知出ない 人事も驚く今どきの就活生
2017/3/8
http://style.nikkei.com/article/DGXMZO13579300S7A300C1000000?channel=DF180320167086&style=1
「学生が電話に出てくれない」――。3月1日に解禁となった2018年卒の採用活動。
浪人や留年などの寄り道なしで卒業予定であれば、1995~96年生まれの大学生たちは、
生まれたときからの携帯電話世代だ。彼らの通信手段は「LINE」「ツイッター」がほとんど。
就職活動になって初めて、「見知らぬ大人との電話コミュニケーション」に直面、とまどう学生も少なくない。
通信手段の変化が、就活に思わぬハードルをもたらすこともあるようだ。
■電話対応、採用の評価に
「電話、やっぱり嫌ですよね。アポの調整はメールがいい」。早稲田大文学部3年の女子大生はこう話す。
さらに「知らない番号は気になる」という。就職活動を本格化し始めた昨年秋ごろから、
登録した就職支援会社から、イベント勧誘の電話が頻繁にかかってくるようになった。
「何時にかかってくる、とあらかじめわかっていれば対応できるけど……」と不快感を隠さない。
就活生には電話1本かけるにも事前のアポイントメントが必要なのか。
企業の人事担当者はどう感じているのだろう。
主に海外など遠隔地にいる就活生向けに、無料ビデオ通話ソフト「スカイプ」を使った面接も一部受け付けるなど、
採用活動にデジタルメディアを広く活用している携帯電話大手、ソフトバンク。
しかし、社会人になってから期待するマナーは違うようだ。採用・人材開発統括部の源田泰之統括部長は、
「チームでやる仕事が多いし、コミュニケーションスキルは仕事の成果にかかわる。
さすがに電話が全然できないのは困る」という。
ある東証マザーズ上場のアプリ開発会社の人事担当者は「電話の対応はチェックする」ときっぱり。
面接やインターンシップ(就業経験)など、「よそ行き」の顔がいくらしっかりしていても、
電話のやりとりができなければ評価が下がるそうだ。
また、この会社はメールの返信の早さ、遅さなどの対応力も見ているという。
その一方、「『未登録の03ナンバーは怪しい』と思われているのだろう」と、電話に出ない学生の行動に理解を示した。
着信履歴を見たらまず検索でチェックし、企業名を確かめてから折り返す、という動きは、
IT(情報技術)リテラシーの高い学生には当たり前の自己防衛なのかもしれない。
どちらにしても、インターネット上にマニュアルが流布する今だからこそ、
メールや電話の対応力が「学生の素を見たい」という採用担当者にとって絶好の機会の一つとなっているようだ。
マスコミに勤務する30歳代の女性は、送られてきたOG訪問の依頼メールに感心した。
「拝啓」に始まり「敬具」まで、非常に丁寧な文面だったためだ。ところが、実際に会ってみて、もっと驚いた。
「会ってみたら目をあわせてくれないし、ずっと、おどおどしていた。メールではしっかりしていたのに……」。
電話にかぎらず、面と向かっての対応が苦手、という学生は多い。
■「非通知」なんてありえない
「学生は電話が苦手」と断言するのは、20年以上採用市場を見てきた就職情報大手、
マイナビ(東京・千代田)の栗田卓也HRリサーチ部長だ。
今どきの就活生は、LINEや フェイスブックの無料対話アプリ「メッセンジャー」など、
文字だけのコミュニケーションに慣れている世代だ。しかも、同世代の友人とのやり取りがほとんどなため、
「急に大人と接触する機会が訪れたり、電話で話そうとしたりすると緊張してしまう」(栗田部長)。
さらに、「非通知」の電話には出ないという学生が少なくないという。
人事が番号非通知で学生に電話をかけてくることもままある。
採用現場の苦悩を描いた小説「あの子が欲しい」の作者、朝比奈あすかさんは、
「非通知での電話連絡は、できるかぎり情報を開示せず人を採りたい、という採用側の傲慢さが出ている」という。
ただ、非通知は必ずしも故意とは限らない。栗田部長は「学生がつかまらないと嘆く人事に、
もしや『非通知では』と確認すると、意図せず設定されていた、というパターンがある。
オジサンはITに弱くて」と苦笑い。小さな確認もれで優秀な学生を取り逃がすケースもありそうだ。
■友人とのコミュニケーション、電話は1.3%
マイナビが17年2月に18年卒の就活生を対象に実施した「ライフスタイル調査」では、
友人とのコミュニケーションに使うツールはなんと9割がLINEだった。一方、電話は1.3%とごくわずか。
スマートフォンの保有者は98.5%と「ほぼ全員持っている」状態だが、通話の頻度は少ないようだ。
しかし、実際に日々仕事に向かうビジネスパーソンは誰もが
「『電話が苦手なので』では仕事にもならない」と即答するはずだ。
前述の栗田部長も、「電話のコミュニケーションに慣れていないのなら、就活で慣れたほうがいい」と進言する。
日々の仕事で必要なスキルだからこそ、面接官がチェックしている。
学生諸君は「面接以外の場面でもチェックされているなんて」と負担に思わず、
この機会に「大人との電話コミュニケーション」を克服してはどうだろうか。
(松本千恵)
==============================================
私も電話は苦手だ。
今とは時代が違うが、はるか昔の大学生の就職活動での電話のやりとりもとても緊張した。
あらかじめ台本を作っておいたり、ひとりで練習したりもした。
予想外のことを言われたりすると、しどろもどろなってしまったりもした。
だから今の学生の気持ちもよくわかる。
今は非通知の電話に出ないことは、特別なことでもない。
携帯でも、固定電話でも非通知をはじく設定にしている人も少なくないと思う。
電話の対応力は必須という人事担当の人の言い分はもっともだが、
押し売り電話じゃあるまいし、せめて企業は非通知はやめてほしいと思う。
2017/3/8
http://style.nikkei.com/article/DGXMZO13579300S7A300C1000000?channel=DF180320167086&style=1
「学生が電話に出てくれない」――。3月1日に解禁となった2018年卒の採用活動。
浪人や留年などの寄り道なしで卒業予定であれば、1995~96年生まれの大学生たちは、
生まれたときからの携帯電話世代だ。彼らの通信手段は「LINE」「ツイッター」がほとんど。
就職活動になって初めて、「見知らぬ大人との電話コミュニケーション」に直面、とまどう学生も少なくない。
通信手段の変化が、就活に思わぬハードルをもたらすこともあるようだ。
■電話対応、採用の評価に
「電話、やっぱり嫌ですよね。アポの調整はメールがいい」。早稲田大文学部3年の女子大生はこう話す。
さらに「知らない番号は気になる」という。就職活動を本格化し始めた昨年秋ごろから、
登録した就職支援会社から、イベント勧誘の電話が頻繁にかかってくるようになった。
「何時にかかってくる、とあらかじめわかっていれば対応できるけど……」と不快感を隠さない。
就活生には電話1本かけるにも事前のアポイントメントが必要なのか。
企業の人事担当者はどう感じているのだろう。
主に海外など遠隔地にいる就活生向けに、無料ビデオ通話ソフト「スカイプ」を使った面接も一部受け付けるなど、
採用活動にデジタルメディアを広く活用している携帯電話大手、ソフトバンク。
しかし、社会人になってから期待するマナーは違うようだ。採用・人材開発統括部の源田泰之統括部長は、
「チームでやる仕事が多いし、コミュニケーションスキルは仕事の成果にかかわる。
さすがに電話が全然できないのは困る」という。
ある東証マザーズ上場のアプリ開発会社の人事担当者は「電話の対応はチェックする」ときっぱり。
面接やインターンシップ(就業経験)など、「よそ行き」の顔がいくらしっかりしていても、
電話のやりとりができなければ評価が下がるそうだ。
また、この会社はメールの返信の早さ、遅さなどの対応力も見ているという。
その一方、「『未登録の03ナンバーは怪しい』と思われているのだろう」と、電話に出ない学生の行動に理解を示した。
着信履歴を見たらまず検索でチェックし、企業名を確かめてから折り返す、という動きは、
IT(情報技術)リテラシーの高い学生には当たり前の自己防衛なのかもしれない。
どちらにしても、インターネット上にマニュアルが流布する今だからこそ、
メールや電話の対応力が「学生の素を見たい」という採用担当者にとって絶好の機会の一つとなっているようだ。
マスコミに勤務する30歳代の女性は、送られてきたOG訪問の依頼メールに感心した。
「拝啓」に始まり「敬具」まで、非常に丁寧な文面だったためだ。ところが、実際に会ってみて、もっと驚いた。
「会ってみたら目をあわせてくれないし、ずっと、おどおどしていた。メールではしっかりしていたのに……」。
電話にかぎらず、面と向かっての対応が苦手、という学生は多い。
■「非通知」なんてありえない
「学生は電話が苦手」と断言するのは、20年以上採用市場を見てきた就職情報大手、
マイナビ(東京・千代田)の栗田卓也HRリサーチ部長だ。
今どきの就活生は、LINEや フェイスブックの無料対話アプリ「メッセンジャー」など、
文字だけのコミュニケーションに慣れている世代だ。しかも、同世代の友人とのやり取りがほとんどなため、
「急に大人と接触する機会が訪れたり、電話で話そうとしたりすると緊張してしまう」(栗田部長)。
さらに、「非通知」の電話には出ないという学生が少なくないという。
人事が番号非通知で学生に電話をかけてくることもままある。
採用現場の苦悩を描いた小説「あの子が欲しい」の作者、朝比奈あすかさんは、
「非通知での電話連絡は、できるかぎり情報を開示せず人を採りたい、という採用側の傲慢さが出ている」という。
ただ、非通知は必ずしも故意とは限らない。栗田部長は「学生がつかまらないと嘆く人事に、
もしや『非通知では』と確認すると、意図せず設定されていた、というパターンがある。
オジサンはITに弱くて」と苦笑い。小さな確認もれで優秀な学生を取り逃がすケースもありそうだ。
■友人とのコミュニケーション、電話は1.3%
マイナビが17年2月に18年卒の就活生を対象に実施した「ライフスタイル調査」では、
友人とのコミュニケーションに使うツールはなんと9割がLINEだった。一方、電話は1.3%とごくわずか。
スマートフォンの保有者は98.5%と「ほぼ全員持っている」状態だが、通話の頻度は少ないようだ。
しかし、実際に日々仕事に向かうビジネスパーソンは誰もが
「『電話が苦手なので』では仕事にもならない」と即答するはずだ。
前述の栗田部長も、「電話のコミュニケーションに慣れていないのなら、就活で慣れたほうがいい」と進言する。
日々の仕事で必要なスキルだからこそ、面接官がチェックしている。
学生諸君は「面接以外の場面でもチェックされているなんて」と負担に思わず、
この機会に「大人との電話コミュニケーション」を克服してはどうだろうか。
(松本千恵)
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私も電話は苦手だ。
今とは時代が違うが、はるか昔の大学生の就職活動での電話のやりとりもとても緊張した。
あらかじめ台本を作っておいたり、ひとりで練習したりもした。
予想外のことを言われたりすると、しどろもどろなってしまったりもした。
だから今の学生の気持ちもよくわかる。
今は非通知の電話に出ないことは、特別なことでもない。
携帯でも、固定電話でも非通知をはじく設定にしている人も少なくないと思う。
電話の対応力は必須という人事担当の人の言い分はもっともだが、
押し売り電話じゃあるまいし、せめて企業は非通知はやめてほしいと思う。